スペインに行ったのは、ベルリンの演奏の少し後だったと思います。フルート奏者だった姉とデュエット「フルートと箏 花てまり」を組んで初めての海外公演でした。
この旅は母も同行、寒い12月の公演。当初は大きな公演の企画でしたが、海外ではよくあること、蓋を開けてみたら受け入れ先も曖昧で、渡航直前までアタフタした思い出があり、ただ最後は在スペイン日本大使館にもご協力頂き、冬のマドリッドに到着しました。父が商社に勤めていたお陰で、父の会社の方々にも大変お世話になった記憶があります。
マドリッドでどんな公演をしたか覚えておりませんが、到着してお迎えに来て下さった大使館の方が、空港からホテルまでの車内で、最近マドリッドは夜の治安が悪く、日本人はお金やパスポートも盗まれがち、女性だけで夜は歩かないように、また月曜になると大使館にはパスポートを盗まれ、ボコボコに殴られた日本人が、よくパスポート申請に来るんです、、と世にも恐ろしい話をして下さったのが強烈でした。
クリスマスも近いマドリッドは、寒くはあるものの雪は降っておらず、クリスマスバーゲンでコートやセーターを買い、公演もさることながら、母と姉と楽しく観光もしました。
ある日、ピカソの「ゲルニカ」を観に行こうとなり、実物を観に行ったことを鮮明に覚えております。ただその頃の私はピカソについても、ゲルニカが持つ大きな意味も分からず鑑賞、原田マハさんの「暗幕のゲルニカ」を読んでいたら、どんなに深く鑑賞できたか、、と思うと残念な気持ちになります。
公演はとても喜んで頂き、マドリッドを離れる前日にお食事にお招きいただきました。その時、初めてイベリコ豚の生ハムをご馳走になり「イベリコ豚はドングリし食べないから香りの良い生ハムができるんですよ」と教えて頂き、ドングリしか食べない豚が成長するまでには、どれだけ大量のドングリを用意するんだろう、、と生ハムの味よりドングリの総量が気になり、リオハワインは生ハムには合うなぁ〜と食しておりました、、、若気のいたりです。
その後、日本でもイベリコ豚が大ブームになり、その度にマドリッドの食事の風景、レストランの赤い店内を思い出します。公演も含めて写真が残っていないのが残念。
次回はマドリッドからのアルハンブラのお話。
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